人々の温かいつながりと街の循環を生み出す、地域社会になくてはならない存在である銭湯。江戸時代以降、どの街にも不可欠な存在であった公衆浴場として、人々に愛されてきた銭湯が、現在、日本中の地域から消えつつあります。

東京だけでも、かつては2500軒以上あった公衆浴場も、2020年には500軒を切るほどにまで減少しています。その原因は後継者問題や利用客の減少、建物の老朽化など、銭湯が直面する課題は山ほどあります。そこで、TOKYObetaの江口は、設立中心メンバーとして、一般社団法人「せんとうとまち」を立ち上げました。

銭湯が持つ文化的価値に光をあてながら、銭湯とその周辺の街の生活文化を育んでいる重要な建物や環境の潜在的価値を掘り出し、見える化し、広く社会に発信することで、歴史の積層を踏まえた「銭湯がある街並み」の魅力の向上を図っていきます。

また、同社団設立と並行して、具体的な銭湯再生のプロジェクトとして、東京都・北区にある稲荷湯の再生に取り組んでいます。

この再生プロジェクトは、世界中の歴史的建造物や文化遺産の保全に取り組んでいるワールド・モニュメント財団の2020年ウォッチ・リストに選定され、アメリカン・エキスプレスの協力のもとワールド・モニュメント財団からの助成支援をもとに、稲荷湯および稲荷湯横の二軒長屋の改修などを行いながら、地域にひらかれたスペースおよび銭湯文化を伝える空間に再生いたします。

▼ワールド・モニュメント財団2020年ウォッチ・リスト
https://www.wmf.org/2020Watch

私たちが取り組む様々な事業やプロジェクトを通じて、銭湯を基軸に地域の方々とつながりながら、また、同じ志を持っている全国各地の人たちともつながりながら、ともに銭湯が地域にもたらす価値を高め、銭湯と街との持続可能なあり方を模索していきたいと考えています。

▼一般社団法人「せんとうとまち」ウェブサイトはこちら
https://www.sento-to-machi.org/

以下、活動方針です。

銭湯 × 再生

地域の人たちに愛されてきた、歴史的・文化的な価値のある銭湯を現代に再生させるための取り組みを行います。
老朽化や修繕の悩みなど、銭湯の運営に課題に寄り添いながら、銭湯再生の提案やコンサルティング、事業再生のための安定的な収益化や収益確保によって、持続的な銭湯活動ができるための幅広い支援を行っていきます。これらを通じて、銭湯のある街並みを維持・保全活用するための様々な企画提案を行ってまいります。

銭湯 × 調査

地域の発展と歩み続けてきた公衆浴場としての銭湯が持つ歴史性、文化性を掘り下げるための調査研究活動を行います。
銭湯やそれに紐付く様々な地域文化などの物語を通して、街の一角から大都会のスケールまでかつて存在した風景や共同体を掘り起こすことで、これからの銭湯のあり方を模索していきます。

銭湯 × 街

銭湯は、銭湯単体だけで存在しているのではなく、地域やそこの住まう人たちとともに育まれてた場所でもあります。
私たちは、銭湯を核に地域コミュニティの活性化につながる企画開発や実施を行います。例えば、銭湯マルシェ、周辺の飲食店やお店とのコラボ、周辺の空き家の活用など、集いの場としての銭湯本来の機能を拡張するイベントや周辺地域との連携を図りながら企画、運営を行います。
これらを通して、銭湯がある風景をもとに、地域の人たちのつながりや新たな地域のあり方を模索していきます。

銭湯 × 交流

全国各地の銭湯経営者や銭湯再生、銭湯を中心とした地域コミュニティを育んでいる人たち、研究者、民間企業、NPO、地域金融機関などとの連携を深め、情報交換やネットワークによる銭湯再生のための横断的な活動を取り組んでいきます。また、自治体などの行政との連携を行いながら、産官学民による銭湯再生を促すネットワークを構築していきます。

銭湯 × 育成

銭湯の文化的価値を次世代に繋げるために、銭湯の事業承継を促進するための講習活動や、銭湯がある地域の魅力や文化活動について情報発信していくための広報活動を行います。
また、日本文化の象徴の一つである銭湯文化について、海外への情報発信を強化するだけでなく、各銭湯経営者らがインバウンドや訪日外国人に対応できるためのサポートも行いながら、日本独自の文化である銭湯の価値を広く発信する基盤づくりをサポートします。

団体概要

一般社団法人せんとうとまち
設立:2020年11月
代表理事:栗生はるか
副代表理事:牧野徹
理事:三文字昌也
理事:サム・ホールデン
理事:江口晋太朗
監事:金谷匡高

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